離れて暮らす親と久しぶりに食事をしたら、よくむせていた。硬いものを残すようになった。言葉が少し聞き取りにくい──「年のせいかな」で済ませてしまいがちな変化ですが、お口の働きが弱ってきているサインかもしれません。
北海道歯科医師会によると、こうした「食事のときのむせこみが増える」「硬い食品が噛めなくなる」「滑舌が悪くなる」といった変化は、オーラルフレイル(口の虚弱)の始まりとされています。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、口の働きの衰えが、栄養状態やフレイル、要介護状態とも関係すると説明されています。
この記事では、歯科医師会と厚生労働省の資料をもとに、オーラルフレイルのサイン、放っておくと起こりうること、家族ができることをまとめました。
食事でむせる、硬いものを残す、滑舌が悪くなったといった変化は、オーラルフレイルの始まりのサインとされています。口の働きは毎日使うため衰えに気づきにくく、早めに気づいて対応すれば改善できることも多いとされています。症状がなくても、歯科での定期的なチェックをすすめてみてください。
オーラルフレイルとは

北海道歯科医師会は、オーラル(口)のフレイル(虚弱)の根本的な原因は加齢といわれているとしたうえで、歯周病やむし歯で残っている歯が減ることによって、徐々に引き起こされると説明しています。
e-ヘルスネットによると、口には、食べ物を取り込む、噛む、まとめて飲み込む、話す、味わうといった働きがあります。歯を失ったり、噛む力が落ちたり、舌や唇の動きが衰えたりすると、これらの働きがうまくいかなくなります。
北海道歯科医師会が挙げる始まりのサインは、次のようなものです。
- 食事のときにむせこむことが増えた
- 硬い食品が噛めなくなった
- 滑舌が悪くなった
放っておくと、食事や体力に影響することも

e-ヘルスネットでは、噛みにくくなると、食べられる食品が限られて柔らかいものを好むようになり、肉や魚、野菜、果物を食べる量が減って、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなると説明されています。一方で、炭水化物や糖類、塩分の多い食事にかたよりがちになるそうです。
北海道歯科医師会は、オーラルフレイルの状態になると、食事の満足度が下がったり、人との交流がうまくいかなくなったりして、気持ちの面にも影響が出ることがあるとしています。そのまま放置すると、オーラルフレイルからフレイル、そして要介護状態へと、ドミノ倒しのように悪化していくと説明されています。
e-ヘルスネットでは、口の働きの低下は、フレイルなど全身の衰えに先立って現れることが多く、老化に早く気づくための大切な目安になると紹介されています。
家族ができること

e-ヘルスネットは、口の働きは毎日使うため衰えを自覚しにくく、知らないうちに進むとしています。だからこそ、ときどき一緒に食事をする家族の目が役に立ちます。同じ資料では、口の働きを守るポイントとして次の4つが挙げられています。
- 定期的な歯科受診:むし歯や歯周病だけでなく、噛む・飲み込む力、舌や唇の動き、口の乾燥なども見てもらう
- いろいろな食品をおいしく食べる:硬さや形を工夫しながら、肉・魚・野菜・豆類などをバランスよく
- 口の体操と全身の運動:「パ・タ・カ・ラ」と発音する練習や口の体操を続け、ウォーキングなどと組み合わせる
- 人との交流:家族や友人、地域の通いの場などで一緒に食事をしたり会話を楽しんだりする
北海道歯科医師会も、症状がない場合でも歯科医院で定期的(3〜6か月)に健診を受けることが大切だとし、自治体などで行われている口の機能を高める講座にも、機会があれば参加してみるよう勧めています。
e-ヘルスネットによると、2018年に歯科で「口腔機能低下症」という病名が加わり、噛む・飲み込む・発音・唾液などの働きを歯科医院で評価して管理していくことが促されるようになりました。「むせる」「噛めない」を、歯科で相談してよいことだと知っておくと、受診のきっかけにしやすくなります。
通院がむずかしいときは

足腰が弱って歯科に通うのがむずかしい場合は、自宅などに歯科医師が訪問して診療する「訪問診療」という方法もあります。大阪あわじ歯科でも、在宅で療養している患者さんへの訪問診療を行っています。対応できる内容や範囲は、お電話でご相談ください(電話番号と診療時間はアクセス・診療時間のページにあります)。
入れ歯が合わなくて噛めなくなっている場合は、入れ歯のページもあわせてご覧ください。当院には、入れ歯を入れたときの噛む力を測る歯科用咬合力計があり、院内の歯科技工士が入れ歯の修理にも対応しています。
よくある質問
歯が少なくても、歯科でできることはありますか?
e-ヘルスネットでは、歯科医療機関や後期高齢者の歯科健診で、噛む・飲み込むといった口の働きを評価する検査が広く行われるようになり、複数の働きの低下が見られる場合は口腔機能低下症と診断され、管理計画のもとで管理が行われると説明されています。歯の本数にかかわらず、口の働きについて相談できます。
親が「歯医者は行かなくていい」と言います
口の働きの衰えは本人も気づきにくいものです。「むせるのが心配だから一度見てもらおう」「入れ歯の調子をみてもらおう」など、困っていることを入り口にすると、受診のきっかけを作りやすくなります。付き添える日に予約を取るのも一つの方法です。
まとめ
食事でむせる、硬いものを残す、滑舌が悪くなった。こうした変化は、オーラルフレイルの始まりのサインとされています。放っておくと、食事や体力、人との交流にも影響することがあると説明されています。
家族が変化に気づいたら、定期的な歯科のチェックをすすめてみてください。通院がむずかしい場合は、訪問診療という方法もあります。
大阪・東淀川区(阪急淡路駅 徒歩3分)の歯科医院です
大阪あわじ歯科では、入れ歯や噛むことのご相談、在宅で療養している方への訪問診療を行っています。ご家族のお口のことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
診療時間:月〜土 10:00〜13:30/14:30〜18:00(日・祝は休診)
ご予約はWEB予約・LINE・お電話(06-6322-5739)から受け付けています。
参考:北海道歯科医師会「オーラルフレイル」(全国健康保険協会 北海道支部 健康コラム、2025年12月)/厚生労働省 e-ヘルスネット「口腔機能の健康への影響」「口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連」
