「フッ素を塗ってもらった帰りに、子どもがジュースを飲みたがる」「塗布のあと、水やお茶もだめ?」──歯科でフッ素を塗ったあと、どのくらい待てばいいのか迷う方は多いと思います。
大阪あわじ歯科 院長の西出です。先にお伝えすると、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、塗布が終わったら唾液を吐き出し、うがいや飲食は30分間しないように指導するとされています。フッ素の塗り薬の添付文書(一例)にも、塗布後約30分間は口をゆすがず、唾液を吐かせる程度にとどめると書かれています。
ただし、塗布に使う薬にはジェルや液などの種類があり、塗り方もいくつかあります。最終的には、塗布を受けた医院の案内に従ってください。この記事では、資料に書かれていることと書かれていないことを分けて、塗布後の過ごし方を歯科医師の立場から整理しました。
この記事の要点
- 塗布後は唾液を吐き出し、うがいと飲食は30分控えるのが、e-ヘルスネットに書かれた目安です。
- フッ素塗布は1回で終わりではなく、年2回以上続けて受けることが大切とされています。
- この記事は、歯科医院で塗る「フッ素塗布」の話です。毎日の歯磨きのあとのことは別の記事でまとめています。
歯科で受けるフッ素塗布とは

e-ヘルスネットによると、フッ素塗布は、比較的濃いフッ素の液やジェルを、歯科医師・歯科衛生士が歯の表面に塗る方法です。使われる薬の濃度は、フッ化ナトリウムとして2%(フッ素として9,000ppm)で、毎日使う歯磨き粉(大人用で1,400〜1,500ppmF)よりずっと高い濃度です。
子どもでは乳歯の虫歯予防として1歳ごろから、大人では歯の根元の虫歯の予防として行われています。矯正治療中の方や唾液が少ない方など、虫歯になりやすい方にも使われます。
1回だけでは効果が得られない
同じ資料では、フッ素塗布は1回受けただけでは効果が得られず、年2回以上続けて受ける必要があるとされています。乳幼児が定期的に続けて受けた場合、虫歯がほぼ半分に減ったという報告があり、永久歯での予防効果は20〜30%という報告が多いとされています。
塗ったあと30分の過ごし方

e-ヘルスネットと添付文書(一例)に書かれていることをまとめると、次のとおりです。
- 唾液は吐き出す:薬が混ざった唾液は飲み込まないようにします。
- うがい(口をゆすぐこと)はしない:約30分は控えます。
- 飲んだり食べたりしない:30分は控えます。資料には、水だけは例外という書き方は見当たりませんでした。
30分を過ぎたあとの歯みがきのタイミングなど、資料に書かれていない細かい点は、塗布を受けた医院の説明に従ってください。
お子さんの場合のコツ
塗布の直後に「のどがかわいた」「おなかがすいた」とならないよう、食事やおやつの時間と少しずらして予約を入れておくと、30分を待ちやすくなります。e-ヘルスネットでは、乳幼児の塗布では保護者向けに、おやつのとり方や歯みがきの指導もあわせて行うとされています。
なお、子どもに使う薬の量は1回2g(2mL)以内とされていて、この量では急性の中毒の心配はいらないと説明されています。
たばこを吸う方へ

塗布のあとのたばこ(加熱式を含む)の目安は、今回確認した資料では見当たりませんでした。くわしくは歯磨きのあとにアイコスを吸うとどうなる?でまとめています。
毎日のフッ素と組み合わせる

歯科の4学会(日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)は、水道水へのフッ素添加が行われていない日本では、フッ素入り歯磨き粉に加えて、フッ素での洗口や歯科での塗布を組み合わせることも重要としています。
e-ヘルスネットでも、フッ素入り歯磨き粉と歯科での塗布を組み合わせると、塗布だけの場合に比べて乳歯の虫歯の減少率が65%だったという報告が紹介されています。
お家で使う歯磨き粉の量と濃度の目安は、4学会の推奨では次のとおりです。
- 歯が生えてから2歳まで:米粒程度(1〜2mm程度)・900〜1,000ppmF
- 3〜5歳:グリーンピース程度(5mm程度)・900〜1,000ppmF
- 6歳から(大人も):歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)・1,400〜1,500ppmF
歯科での塗布は年に数回、歯磨き粉は就寝前を含めて1日2回。私は、両方を続けることが虫歯予防の土台になると考えています。
当院の小児歯科では、お子さまのフッ素塗布や、年齢に合わせた歯みがきの指導を行っています。内容は小児歯科のページにまとめています。
よくある質問
30分たたないうちに飲んでしまったら、塗り直しが必要?
30分以内に飲食してしまった場合にどうすればよいかを示した資料は、今回確認した資料では見当たりませんでした。気になるときは、塗布を受けた医院に相談してください。次の塗布のときに、待ち時間の過ごし方を一緒に考えておくのもよい方法です。
大人もフッ素塗布を受けたほうがいい?
e-ヘルスネットでは、大人では歯の根元の虫歯の予防としてフッ素塗布が行われているとされています。受けたほうがよいかどうかは、歯ぐきの下がり具合や虫歯のなりやすさによって変わるので、歯科で相談してみてください。
まとめ
歯科でフッ素を塗ったあとは、唾液を吐き出し、うがいと飲食は30分控えるのが資料にある目安です。資料に書かれていない細かい点は、塗布を受けた医院の案内に従いましょう。
「30分はうがい・飲食をしない」「細かい点は医院の案内に従う」「塗布は年2回以上続ける」。保護者の方には、この3つを覚えておいていただければと思います。
大阪・東淀川区(阪急淡路駅 徒歩3分)の歯科医院です
大阪あわじ歯科では、お子さまのフッ素塗布やシーラント、年齢に合わせた歯みがきの指導を行っています。お子さまの歯のことで気になることがあれば、どうぞお気軽に私にご相談ください。
診療時間:月〜土 10:00〜13:30/14:30〜18:00(日・祝は休診)
ご予約はWEB予約・LINE・お電話(06-6322-5739)から受け付けています。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物歯面塗布」/フッ化物歯面塗布剤(リン酸酸性フッ化ナトリウム塗布剤)の添付文書(2023年9月改訂)/日本口腔衛生学会ほか「4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」(2023年)
