歯のエナメル質が剥がれた・欠けたときの治療は?受診までに気をつけること

歯のエナメル質が剥がれた・欠けたときの治療は?受診までに気をつけること

「前歯の先が少し欠けた」「歯の表面が剥がれたように見える」──鏡を見て気づくと、どのくらい急いで歯医者に行けばいいのか迷いますよね。

先にお伝えすると、欠けて失われた歯の部分は、自然には元の形に戻りません。治療は欠け方によって変わり、小さな欠けなら歯の色に近い樹脂で詰める方法、大きく欠けた場合は被せ物、神経まで届いている場合は根の治療が必要になることもあります。

大阪あわじ歯科 院長の西出です。この記事では、歯の外傷や歯の磨り減りについての公的な資料をもとに、エナメル質が剥がれる・欠ける原因、欠け方ごとの治療の考え方、受診までに気をつけたいことを、歯科医師の立場からまとめました。

目次

最初に押さえておきたい3つのこと

  • しみる・痛む・赤い点や出血が見えるときは、欠けが歯の内側(象牙質や神経)まで届いている可能性があるため、早めに受診しましょう。
  • しみも痛みもない小さな欠けでも、自分で深さを見分けるのは難しいので、一度歯科で確かめてもらうのがおすすめです。
  • 欠けた原因(ぶつけた・むし歯・歯ぎしり・酸性の飲食物など)によって、治療とあわせて見直すことが変わります。

エナメル質と象牙質のちがい

エナメル質と象牙質のちがいを、二重の丸の図を指して説明するトラ

歯のいちばん外側を覆うのがエナメル質です。日本歯磨工業会の解説によると、エナメル質はほとんどが硬く細かい結晶でできていて半透明です。その内側にある象牙質は有機質を多く含み、結晶は60%前後しかないため、エナメル質よりやや黄色みを帯びています。

象牙質まで欠けると、空気や食べ物が触れたときに痛みを感じやすくなります。歯の中心には神経(歯髄)があり、欠けがここまで届くと治療の内容が大きく変わります。

エナメル質が剥がれる・欠ける主な原因

エナメル質が剥がれる・欠ける主な原因を、ボールとナッツ、月とまくらの丸い印で示すトラ

ぶつけた・強い力がかかった

転んだりぶつけたりして歯が欠けることがあります。MSDマニュアル(家庭版)では、上の前歯は破折しやすい部位とされています。また、かむときや冷たいものを口にしたときに短く鋭い痛みがある場合は、どこかの歯に目に見えないひびがある可能性があるとしています。

むし歯

むし歯が進んだ歯は、かむ力などで欠けたり折れたりすることがあります。日本歯科保存学会の根面う蝕(歯の根元のむし歯)の診療ガイドラインでも、気づかないうちにむし歯が進み、かむ力や歯ぎしりで歯が根元から折れる危険があると書かれています。また日本歯科保存学会は、むし歯や外傷などで一部が欠けた歯は、合成樹脂・金属・セラミックスなどの材料で修復して、歯の働きを取り戻す必要があると説明しています。

歯の磨り減り(トゥースウェア)

むし歯や外傷以外にも、歯は少しずつ失われることがあります。山形県口腔保健支援センターの資料では、次の4つが挙げられています。

  • 酸蝕症:お口の中が歯の溶け出すpH(酸性の度合い)に長い時間・何度もさらされて、歯が溶ける状態。むし歯と違い、細菌は関わりません。
  • 咬耗症:歯と歯、歯と食べ物などがこすれて削れる状態。歯ぎしり・食いしばり・かたい物を好んで食べる習慣がある人は進みやすいとされています。
  • 摩耗症:力を入れた歯みがきなど、不適切な歯みがきで歯が削れる状態。歯ぐきが下がって根元の象牙質が出ていると、くさび形にえぐれることもあります。
  • アブフラクション:強いかみ合わせの力が歯の根元に集中し、エナメル質や象牙質がはじけるように欠ける状態。

同じ資料では、酸蝕症の主な原因として、柑橘類・炭酸飲料・清涼飲料水・酢などの酸性の飲食物のとりすぎ、ビタミンCなどのサプリメントのとりすぎ、胃液が口まで上がってくる逆流性食道炎などが挙げられています。

欠け方によって治療はどう変わる?

欠け方によって治療はどう変わるかを、歯の記号のカードを並べて相談するトラと白い袖の手

MSDマニュアル(家庭版)をもとに、欠け方ごとの目安を整理します。実際にどの治療が合うかは、私たち歯科医師が歯の状態を診て判断します。

  • エナメル質だけが欠けた:けがのあとに冷たいものがしみなければ、外側のエナメル質だけの可能性が高く、少し欠けた程度なら治療を急ぐ必要はないとされています。
  • 象牙質まで欠けた:空気や食べ物が触れると痛むことが多く、すぐに歯科を受診するとされています。
  • 神経(歯髄)まで届いた:欠けた所に赤い点が見えたり、出血したりすることがあります。強い痛みが出る前に、根の治療(根管治療)が必要になることがあります。

修復の方法は、ひびだけで欠片が取れていなければ詰め物で直せることがよくあり、大きく欠けた場合は被せ物(クラウン)が必要になることがあります。山形県の資料でも、歯の磨り減りについては原因を取り除くことがいちばん大切で、そのうえで白い樹脂の詰め物(レジン充填)や被せ物で歯を守り、かめるようにするとしています。

受診までに気をつけたいこと

受診までに気をつけたいことを、やさしさを表す羽根の印と予約カードで伝えるトラ
  1. しみる・痛む・出血があるなら早めに受診:象牙質や神経まで欠けている可能性があります。
  2. 歯みがきは力を入れすぎない:日本歯磨工業会は、歯の磨り減りには歯磨き粉よりも、みがくときの力や歯ブラシのかたさの影響が大きいとしています。気になる所ほど、軽い力でみがきましょう。
  3. 酸性の飲み物をよくとる方は、受診時に伝える:炭酸飲料や酢、サプリメントなどを習慣にしている場合は、原因を考える手がかりになります。
  4. 歯ぎしり・食いしばりの自覚があれば伝える:咬耗症やアブフラクションの原因になることがあります。
  5. ホワイトニングを考えている方は、先に欠けの相談を:欠けて象牙質が出ている所は薬剤がしみやすく、先に詰め物などの治療が必要になることがあります。くわしくはエナメル質が薄い・剥がれた・形成不全でもホワイトニングできる?でまとめています。

よくある質問

剥がれたエナメル質は、自然に元に戻りますか?

欠けて失われた部分が、自然に元の形に戻ることは期待できません。そのため欠けた歯の治療は、失われた部分を樹脂などの材料で補う「修復」が中心になります。小さな欠けで治療を急がない場合でも、経過を見てよいかどうかは歯科で判断してもらいましょう。

痛くなければ、しばらく様子を見てもいい?

MSDマニュアル(家庭版)では、けがのあとに冷たいものがしみず、エナメル質だけが少し欠けた程度なら、治療を急ぐ必要はないとされています。ただ同じ資料は、歯が欠けたときは早めの対応が必要な歯科の問題としても挙げています。また、欠けがどこまで届いているかを自分で見分けるのは難しく、歯ぎしりや酸性の飲食物など、欠けた原因が続いていることもあります。痛みがなくても、一度診てもらうと原因まで確かめられます。

まとめ

エナメル質が剥がれたり欠けたりした部分は、自然には元に戻りません。治療は欠け方で変わり、しみる・痛む・出血があるときは早めの受診が目安です。

「強くみがかない」「酸性の飲食物や歯ぎしりの習慣を伝える」「痛みがなくても一度診てもらう」。私からは、この3つを覚えておいていただきたいと思います。歯が欠けたときのご相談は、一般歯科のページでも受け付けています。

大阪・東淀川区(阪急淡路駅 徒歩3分)の歯科医院です

当院では、歯が欠けた・しみる・むし歯かどうか見てほしいといったご相談をお受けしています。小さな欠けでも、気になることがあればどうぞお気軽に私にご相談ください。

診療時間:月〜土 10:00〜13:30/14:30〜18:00(日・祝は休診)

ご予約はWEB予約・LINE・お電話(06-6322-5739)から受け付けています。

参考:日本歯科保存学会「歯科保存とは」/山形県口腔保健支援センター「Tooth wear(トゥースウェア)」/MSDマニュアル家庭版「歯の破折、動揺、脱臼」/日本歯磨工業会「歯みがきQ&A」

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